ここでは、当事務所にご依頼いただいた場合の、債権回収の流れ・回収方法・必要な期間など、全般的なことを紹介いたします。
債権回収までの期間
実際に掛かる期間はケースごとに違いますが、参考までに債権回収に必要な期間をご紹介します。
最短ケース
ご相談を受けて、その場で弁護士が電話します。
弁護士から催促があったことで、数日以内に支払ってもらえることがあります。
ときどきあるケースです。
短いケース
弁護士が、ご相談日か翌日に内容証明郵便で催促。
1週間~2週間程度のうちにお支払い。
標準的なケース
弁護士が、ご相談日か翌日に内容証明郵便で催促。
相手方と何度か交渉を重ねて、公正証書を作成した上で和解。4週間~6週間程度。
長くかかるケース
弁護士が、ご相談日か翌日に内容証明郵便で催促。
相手方と何度か交渉を重ねても、進展がなく、交渉決裂!
仮差押や訴訟を起こすまでにご相談日から約2ヶ月。
訴訟を起こしてから判決が出るまでには、早くて2ヶ月。
相手方が争えば、6ヶ月から1年はかかります。
債権回収の流れ
当事務所の仕事の進め方
ベテランの弁護士と若手の弁護士が1名ずつ、それに実務経験豊富なスタッフを合わせた3人がチームとなって、IT技術を駆使して、すばやく債権回収を進めます。
また、少ない費用で、できる限り早く、最適な解決ができるように心がけています。
「何が何でもいきなり訴訟を起こす」というような、好戦的なだけの方法はとりません。
裁判に持ち込むと、少なくとも8ヶ月以上の長い時間がかかることがほとんどだからです。
そのため、きちんと戦略を練ってから動き、素早くに円満に解決することをこころがけています。
Step1 ご相談・ヒアリング
まずは、法律相談を行います。
相談は予約制となっておりますので、メールまたはお電話にて予約をお願いします。
相談は、事務所へお越しいただくか、各種WEB会議(Zoom、Teams、Google Meet)にも対応しておりますので、全国どこからでもご相談ください。
当日は、弁護士がお話をうかがいます。
いろいろな思いがおありでしょうから、じっくりとお話しをうかがいます。
こちらから無理に意見を押しつけたり、高圧的になることはけっしてありません。
私たちは、気軽にお話を打ち明けられる存在でありたいと思っています。
どうぞ「先生」ではなく「さん」付けでお呼びください。
ご相談前に、準備していただきたいこと
当事務所では、ご相談前に、資料のご準備を推奨しています。
契約書、発注書、納品書など証拠となる資料にもとづいてお話をうかがった方が、より的確な判断ができるからです。
また、相手方の規模や資産に関する情報があれば、債権回収の戦略も考えやすくなります。
具体的にご準備いただきたいことは、こちらをご覧ください。
Step2 戦略を立てる
うかがったお話と、いただいた資料をもとに戦略を立てていきます。
この段階では、実際に裁判を起こすかどうかは別にして、
- 仮に裁判を起こしたら勝てるか
- コストをかけて回収をする価値があるものかどうか
ということを中心に検討します。
また、債権回収の戦略は、大きく2つのケースに分けられます。
どちらかの前提に沿って戦略を立て、より詳しい調査を進めていきます。
1. 明らかに支払いを拒む根拠がないケース
例えば、問題のない契約書があり、納期までに注文通り納品したのに、のらりくらりと支払いを延ばしたり、不当なクレームをつけてくるような場合です。
この場合は、請求する側に正当な理由があるので、裁判を起こせば勝てると考えられます。
ですから問題は、「かかるコスト以上の金額を、現実に回収できるかどうか」です。
というのも、いくら法律的にこちらの言い分が正しくても、相手方に財産(資産)がなければ現実に回収できません。
ですから、相手方がどれくらい財産を持っているかが重要です。
- 現金・預金
- 株や投資信託
- 積み立て型の保険
- 自動車
- 機械や設備
- 売掛金・未収金
- 土地・建物など
2. 支払いを拒む根拠があるかどうか法的判断が必要な場合
たとえば、相手方が次のような理由で支払いを拒む場合です。
- 商品に欠陥がある
- 工事にミスがある
- 時効期間が過ぎている
- 契約自体が成立していない
- やるべきことをやっていない
これらのケースでは、相談者にとっては「不当な拒否」であっても、弁護士の目から見ると相手方の言い分が(一部)正しい場合もあります。
反対に、相談者は回収が不可能・困難だと思っている場合でも、弁護士の目から見ると案外すんなり解決策が見つかることも、よくあります。
例えば、次のような場合です。
このように、弁護士としての知識・経験を使って、「相手方の言い分が正しいかどうか」を慎重に検討いたします。
Step3 回収方法のご提案
あらゆるケースを検討した後で、
- どの相手方に対し請求をするべきか
- どの相手方への請求はあきらめるべきか
- やってみなければわからない相手は誰か
- 請求する場合、どのような方法が適切か
- かかるコストはどれくらいか
などについて、丁寧にご説明いたします。
この際、専門用語をつかわず、図を使うなどして、わかりやすくご説明します。
あいまいな精神論や、結果につながらない抽象論は、けっして用いません。
本当に債権回収に有効な、現実的な方法だけをご提案いたします。
「裁判なんて大げさなことはしたくない」とお考えの方も多いです。
事務所によっては、すぐに「何が何でも裁判で争う」と息巻く弁護士もいるようです。
しかし、当事務所では、必ずしも直ちに裁判をするわけではありません。
いかに裁判費用をかけずに、話し合いに持ち込み、債権を回収するか。
これが弁護士の腕の見せどころだと考えています。
あくまで裁判は、最終手段にすぎません。
また、多くの方は「手続きが面倒なのは嫌」とお考えです。
法的な手段で債権回収をしようとすると、膨大な数の書類を作成することになります。
また、お役所は平日しかやっていない場合も多いですから、平日にお仕事をしている方は、手続きをすることは難しいです。
当事務所に依頼をいただければ、ほぼすべての手続きを代行しますので、お仕事のある方でも回収までこぎつけることができます。
Step.4 債権回収
ご提案した方法に納得いただけた場合には、債権回収に移ります。
この時点で、弁護士費用として「着手金」をいただきます。
着手金は、回収の成功・不成功に関わらずお支払いいただくものです。
債権回収には、ケースや段階ごとにいくつもの方法がありますので、ここでは代表的な例について解説します。
【方法1】その場で弁護士から電話
「○○社からご相談を受けている弁護士ですが」
と、相手方にすぐに電話をします。
弁護士から催促が来たという事実だけで、支払いを約束してもらえることも珍しくありません。
預金口座の差し押さえや裁判などになれば、業界での評判が落ちるので、未払金額以上のダメージを受ける場合も多いからです。
【方法2】内容証明郵便による請求
内容証明郵便というのは、特殊な郵便で、相手方に送られたのと同じ内容のものが、郵便局に保管されます。
これは「○年○月○日に、まちがいなく、このような内容の文書が相手方に差し出された」ということを郵便局が証明するものです。
後で「言った言わない」「そんな書類は届いていない」という言い訳を封じることができます。
内容証明郵便は、後日、裁判で証拠とすることを前提としているので、ビジネスの世界では「宣戦布告」を意味します。
内容証明郵便は、ご自身でも出すことが可能です。
テンプレートをダウンロードできるようにしておきましたので、弁護士に依頼する前に、ご自身でトライしてみるのも意味があるでしょう。
しかしご自身で書いた場合、意図せず不利なことを書いてしまったり、法律解釈を誤ってしまう場合も少なくありません。
やはり大きな効果が期待できるのは、弁護士が代理人として請求することです。
弁護士から、しかも普段は使わない内容証明郵便という形で請求がくれば、相手方も慎重・真剣に対応せざるをえません。
弁護士から内容証明郵便で請求しただけで、それまで何年も滞っていた支払いがすぐに行われた、というケースも多いです。
【方法3】弁護士による交渉
内容証明郵便でも支払いがないときは、私たちが皆さんの代理人となって、相手方と交渉して支払いを促します。
ただ「支払え、支払え」と迫るのではなく、相手方の言い分や財産、今後の収入などについて、じっくり話を聞いて、現実的に支払える方法を提案します。
また、財産を差し押さえたら銀行や取引先から信用を失ってしまうことを理解してもらい、その段階まで行く前に、支払ってくれるように説得を重ねます。
もし相手方が、近々、倒産してしまいそうならば、請求額を減額してでも、今すぐ回収するのがよいケースもあります。
他方、現在は資金繰りに余裕はなくとも、今を乗り切れば細く長く商売を続けて行けそうならば、担保を取ったり、保証人をつけてもらったりして、じっくり長期分割で回収していくのもよい方法です。
【方法4】公正証書の作成
交渉がまとまった場合には、「公正証書」を作成する方がよいです。
公正証書というのは、「公証人」の前で、支払いに関する約束をすることです。
ひとたび約束を交わすと、公文書として保存されます。
そして、もし相手方が約束を破って支払いをしなかったら、その文書を根拠として、裁判を起こす必要もなく、直ちに強制執行をすることができます。
通常は、裁判をして判決などを獲得する必要がありますので、その手続を省略できるのは大きなメリットです。
【方法5】仮差押えをする
相手方が話し合いに応じない場合には、裁判所の力をつかうことになります。
しかし、裁判というのは、どこの国でも時間がかかるものです。
裁判を起こしてから、早くても8ヶ月、1年以上の期間がかかることもまれではありません。
そこで活用できるのが「仮差押え」という手続きです。
これは、相手方を呼び出すことなく、請求する側の資料だけにもとづいて「本裁判の結果が出るまで、『仮に』相手方の財産を差し押さえる」という手続きです。
「仮」とはいっても、不動産を仮差し押さえすれば、登記簿に記載されますし、銀行預金を仮差し押さえされれば、預金は引き出しできず、銀行からの信用もボロボロです。
したがって、仮差押えをするだけで、相手方が根をあげて「支払をするから、手続きは取り下げてほしい」ということも、しばしばあることなのです。
もちろん、申立をすれば必ず仮差押えが認められるわけではありません。
こちらの主張が正しいことを証拠に基づいて説明し、裁判所の理解を得る必要があります。
仮差押えは時間との勝負であり、仮差押えする財産を見つけ、的確な申立が必要です。
しっかりとした経験を持つ弁護士に依頼することを、お勧めします。
【方法6】裁判を起こす
相手方が、交渉にも応じない、仮差押えをしても効き目がない。ならば、裁判を起こすほかありません。
相手方を「被告」として裁判所に訴え、「被告は、○○円を支払え」という判決をもらうのです。
裁判所からの呼出に応じなければ、相手方はこちらの言い分をすべて認めたことになります。
相手方が弁護士を依頼して「なぜ支払わないか」を裁判所で争えば、それぞれの言い分のいずれが正しいかを判断してもらうことになります。
裁判において、裁判所から話し合いによる解決(和解)を勧められるということも、多く見られます。
この場合にも、公正証書と同じように、約束が破られた場合に強制執行が可能になります。
【方法7】強制執行(差押え)
- 公正証書をつくったのに支払わない
- 判決が出たのに支払わない
このような場合には、「強制執行」するほかありません。
強制執行とは、「財産」を裁判所が差し押さえて、相手方からむりやり取り上げ、現金に換えて、こちらに引き渡してくれる手続きです。
土地や建物であれば「競売手続き開始決定」というものがなされて、裁判所で競り売りにかけられます。
預金、株や投資信託、積立型の保険などであれば、銀行・証券会社・保険会社に対し、裁判所が「これらの財産は、被告に渡さずに、債権者に渡すように」という命令を出します。
この命令に従わないと、銀行・証券会社・保険会社は、あなたに二重払いをしなければならなくなります。
いざという時に、このようなことを可能にするのが、「権利」ということの本当の意味です。
Step5 回収完了
無事に回収ができた場合には、回収した債権額に応じて、成功報酬をお支払いいただきます。
もし回収できなかった場合、成功報酬はいただきません。
また、今後は、そもそも焦げ付かないようにできれば理想的だと思います。
そのため当事務所では、未回収債権の予防策もご提案しています。
ご希望の際は、お気軽にお声がけください。
未回収債権の予防策もご提案しています
焦げ付いた債権を回収するよりも、そもそも焦げ付かないようにするのが理想です。
未回収債権を発生させないためには、どのようにすればよいのか。
豊富な経験から貴社の問題点を抽出し、予防策をご提案します。
ご要望により、マニュアル作成や社員の方々へのセミナーもお引き受けしております。
ご希望の方は、お問い合わせください。