債権回収は、弁護士の仕事としては、基本科目です。
それだけに、奥が深く、弁護士の力量がはっきりと現れます。
ここでは、そんな力量・交渉力を見分けるポイントをご説明します。
よい弁護士の選び方について知りたい方は、こちらをご覧ください。
話の聴き方
次のことが適切にできていれば、力量がある弁護士といえましょう。
- あなたに十分に話をさせてくれる
- ポイントをついた質問をして、話にとりとめが無くなるのを防ぎ、適切な方向に誘導してくれる
- 話を聴きながら、あなたが持参した資料にも目を通し、説明の不足や矛盾について、質問を投げかけてくれる
決断力
「こうした方がいい」と、はっきりいってくれる弁護士は、交渉力があります。
交渉というのは、小さな決断の積み重ねです。
どんな方法で相手方に連絡を取るか。電話か、書面か、面談か。書面ならFAXかメールが郵便か。内容証明郵便にするか。
また、連絡を取る場合のトーンはどうするか。強面(こわもて)か、事務的か、丁寧か。
ひとつひとつに明確なビジョンがないと「こうした方がいい」とはいえません。
しかし、それがいえないようでは、相手方との交渉でも、的確な対応、切り返しができるはずがありません。
決断力のない、あいまいなことしかいえない弁護士では、回収が失敗に終わる可能性が高くなります。
柔軟性
ひとつの方法に固執せず、採った方法はとりあえずの「仮説」として、事件の進行に応じて、柔軟に戦略と戦術を変更していける弁護士は優秀です。
最初に取った方針・方法は、限られた情報に基づく、その時点での「とりあえずの最善策」にすぎません。
進行状況に応じて不断の見直しが必要で、それができなければ妥当な解決は期待できません。
相手のことも考える
弁護士という資格をふりかざして、ただやみくもに強気に出るのは感心しません。
たとえば、こちらが仕掛けたことが原因で、相手方が潰れてしまって回収ができなかった、というのでは何にもならないのです。
ただちに全額を回収することで、相手の事業に支障があるのであれば、分割払いに応じる。
もちろん、その場合は、ただ引き延ばすのではなく、適切な担保をつけてもらう。
広い人脈を利用して、相手方に資金の調達先を紹介する。
こういった、相手方の立場にも配慮した行動ができないと、交渉はまとまりません。
相手方の事情もしっかりと聞いて、最も現実的な回収プランを提案できるのが、力量のあるよい弁護士です。
期限を意識したアクションプランを持っている
もし交渉が決裂したら、どんな方法をとるべきか。
債権回収の成功のためには、そんなことまで、事前に想定しておくべきです。
「訴訟を起こして、強制執行をする」
それだけなら、どんな弁護士でもいえます。
一方、交渉力ある弁護士は、
- 交渉期限はいつまで
- 決裂したら、次のアクションはこれをいつまでに
- ゴールは、いつごろ、こんなふうに
などといったプランを、いつも意識して行動しているものです。
すぐに法的措置に頼らない
いつでも法的措置に持って行ける状態をつくりつつ、できる限り低コストで回収できるよう柔軟な交渉をする。
そんな弁護士には交渉力があります。
弁護士だからといって、やみくもに、すぐに訴訟にしたがる場合は要注意です。
そういった弁護士に依頼した場合、コストばかりかかって、回収が成功したのにあなたの手もとには少しの金額しか残らない、といった事態になってしまう可能性があるからです。
あなたの疑問に耳を傾けてくれる
あなた自身が「ちょっと変だなあ」「ちがうんじゃないかな」と思ったら、遠慮なく質問してみましょう。
それに、きちんと耳を傾け、答え、修正してくれる弁護士なら安心です。
逆に「法律のことは法律のプロに任せておけばいいんだ」と、強引に押し進めようとする弁護士は、交渉の場でも、強引なだけのプランしか持っていないことが多いです。