今回は税理士の林正巳様にお話を伺いました。

「一流の弁護士です、と言って紹介します」

林様のお仕事について教えてください。

私は税理士をしています。近藤先生とは、お仕事上のパートナーです。

近藤弁護士と関わるようになった、きっかけを教えてください。

中小企業の経営者さんって、仕事について法的な相談事をする面で、税理士以外と関わる機会ってほとんどないんです。弁護士さんや公認会計士さんを顧問としておられる方は、まずありません。ですから、そういった企業の社長さんが、唯一、法律のことを相談できるのが、私たち税理士なんです。

だから自然と、相談事の受け皿は、僕ら税理士になってしまうわけです。そして相談の内容にしたがって、それぞれの専門家に持ちかけるわけですね。
特にうちの事務所では、一流の専門家たちと提携して、どんな相談にも答えてあげようというスタンスを取ってます。僕が責任を持って、「この人だったら大丈夫」という人に相談事を持っていく。そういう仕掛けでやってます。

依頼者から受けた、法律面の相談事を持って行く先が、近藤弁護士なのですね?

そういうことです。もう20年来のパートナーですね。依頼者に紹介するときは、「一流の弁護士です」と勧められる方です。

では、これまでの事例から、債権回収に関連するエピソードをいくつか教えてください。

わかりました。僕から話せる案件は、2つあります。
1つ目は、破産を回避して工務店を存続させたときのお話です。「債権回収請求を受ける側」として、民事再生法を使って防戦しました。
結局、債権回収って、「回収する側」「回収される側」、両方の事情を理解してないと、うまくいきませんからね。
2つ目のお話は、勝手に売られてしまったある会社の債権を、近藤先生と協力して買い戻したというものです。

「土日も挟んで、たった5日。よく間に合わせたなと思います」

それでは順にお伺いします。まず、工務店のエピソードをお聞かせください。

その工務店は、その年の2月、月末28日に返済予定の手形を抱えていました。額が大きかったので、その店だけじゃ返済できなかったんですが、元請け会社から「手形分のお金は貸せるので大丈夫」と約束してもらっていました。だから返済のメドが立っていたんです。

それが2月22日の金曜日になって、いきなり元請け会社から「助けられなくなった」と告げられちゃいました。この工務店としては、不渡り手形を出してしまったら事実上の倒産ですから、もう大混乱ですよね。返済日まであと1週間もありませんでしたし。
それで私のところに相談しに来られました。

近藤弁護士は、どのように解決を図ったのですか?

土曜の23日に、近藤先生に連絡して、相談に乗ってもらいました。
その当時、民事再生法という新しい法律ができたんですが、一般にはあまり利用されてなかった。私は近藤先生と一緒にあれこれ考えて、「これを使ってやってみませんか」と無理を言ってお願いしたんです。そうしたら先生は「やりましょう」と言ってくれました。
それからすぐに動いてもらって、なんとか返済前日の27日には、裁判所から保全命令を出してもらうことができました。この保全命令は、「債権者への支払いは、とりあえずしなくていいよ」という裁判所からの命令です。これで不渡りの回避ができました。

通常そんな短期間で、裁判所からの命令を引き出すことが、できるものなのですか?

できないことはないんです。ただ、土日も挟んでたったの5日で、保全命令までこぎつけるのは、近藤先生じゃなかったら無理かもしれない。よく間に合ったなと思います。

「近藤先生がいなかったら、一家離散になってたよ」

できたばかりの法律を、近藤弁護士といっしょに利用したのですね?

ええ、そうです。
この民事再生法っていうのは、会社を存続させたまま債権を返せる方法なんです。しかも経営者が退陣しなくてもいいのが、いいところなんです。これまでは会社を破産させちゃうとか、そういう方法しかなかったので。
この依頼者は、民事再生法をうまく使ったおかげで、今でも工務店を続けていらっしゃいます。

具体的にどういった手続きで、会社を存続させたのですか?

債権者を一同に集めて、「債権者集会」を開きました。そこで、債権者さんたちに、債務の半額程度を支払う会社の再生計画を示して、返済ができることを納得していただきました。近藤先生には、その債権者たちの矢面に立ってもらって、説得する役をやっていただきました。
おかげで無事に、債権者さんの評決も過半数を取ることができて、再生計画を実行にうつすことができました。
先生も私も、そのとき初めて民事再生法を使ったのですが、それにしても速やかに調停まで持って行けたので、たいへん満足できる結果となりました。

依頼者からの、近藤弁護士の評価はどうでしたか?

「近藤先生がいなかったら、一家離散になってたよ」って、おっしゃってました。
最終的に、この方の自宅は残り、会社も存続できていますからね。とても感謝しておりました。

「うまく連携できるパートナーだから、20年もコンビを組んでいるんでしょうね」

では次に2つ目の、債権を取り戻したエピソードをお願いします。

この依頼者はむかし、工場を建設するために、メガバンクからお金を借りていました。その時、その本社の土地と建物の抵当権を、担保として渡していました。

ただ、不動産の価値が上がってる時はいいんですけど、バブルがはじけて、依頼者の業績も思わしくなくなり、会社を縮小することになりました。
その際、本社ビルを売って、メガバンクに返済したのですね。
しかし、バブル崩壊後ですから、不動産の価値が下がっていて、その抵当権の価値も下がっていました。
だからメガバンクは、本社ビルの売却だけでは、貸した金全部は回収できなくて、担保のない裸の債権が残ってしまったのです。
当時メガバンクは、そういった価値のない債権、つまり不良債権をたくさん抱えて困っていました。
そこで、「不良債権はなくしていきましょう」という政府方針が出たんです。いわゆる金融再生法です。
関連法として、サービサー法というのもできました。金融機関の不良債権を買い取る会社をつくる法律です。
それでこのメガバンクは、依頼者の債権を、サービサーに勝手に売ちゃったんです。不良債権については、貸倒引当金を計上しなければならないので、そういう債権をどんどん外に出していけば、その分だけ、自己資本比率を高くできますから。

自己資本比率が少ないと、監督官庁である金融庁から指導が入り、企業再編を強いられたりするので、メガバンク側も必死になるわけです。目減りした債権って、そのまま放っておくと邪魔なだけなので。

依頼者は、メガバンクに、どれくらいの債権額を売却されてしまったのですか?

約7億を勝手に売られてしまいました。内訳は、会社分が5億で、創業者が個人で2億円分です。
ただ、この売却には、面白いカラクリがあったんです。実はメガバンク側は、額面通りの7億円で売ったわけじゃなかったんですよ。近藤先生が登場するのは、この辺りからです。

債権が勝手に売却された後、近藤弁護士はどのように動いたのですか?

7億円分の抵当権を買い取った先と、近藤先生は交渉を始めました。
でも相手は、安く買って高く売るのが商売ですから、一筋縄ではいかない。それでも先生が交渉してくれたおかげで、最終的には会社分については1億3000万円で買い戻すことができました。
5億あったものが、1億3000万です。つまり、思いもよらず、3億7000万円分は返さなくてよくなったわけです。最初はメガバンクに、すごく勝手なことをやられて困っていたわけですが、結果的には『債務免除益』という『収益』を計上するとができました。ラッキーというか、痛快でしたね。

創業者が借入していた2億円分の債務はどうなったのですか?

はい。こちらは、結局、「1円」を支払いました。創業者には、個人資産もありましたが、他方で、それらも別の金融機関の担保に入っていたりして、相手にとってみれば、もう何の価値もない債権だと理解させて、とりあえず値段をつけさせた格好だと思います。もちろん、創業者に莫大な債務免除益が発生して、課税されないように手当はしてあります。このあたりも、近藤先生と私が相談して組み立てました。

この債権を買い戻すにあたってのポイントは?

ひとつは、私たち税理士と連携して、税務面での対策を考えつつ、速やかに実務処理していったことです。そうしておかないと、一見、有利な和解案に落ち着いても、あとでドカンと税金を取られちゃったりするんです。
もうひとつは、近藤弁護士が、回収する側のノウハウや考え方を知り尽くしていたことですね。
だからこそ、和解調書を作って、全員が納得するような形で和解まで持っていけた。が、分かれ道でしょうね。これはやはり、近藤先生のような一流の弁護士じゃないとできない。
私たちは、弁護士と税理士として、両輪を回しながらうまーくやってます。逆に、そういう連携がうまくできるパートナー同士だから、25年もコンビを組んでいるんでしょうね。

「他の弁護士と比べて、断然スピード感が違います」

近藤弁護士の人柄について教えてください。

非常に優しい顔して、穏やかな顔して、実際の仕事になると勇ましいことをやってる時がありますよ(笑)。外側のイメージに騙される方って、結構いるんじゃないですか。だからこその敏腕ですよ。あと、近藤先生は、その筋の方々とか取立屋とか、そういう怖い人を、ぜんぜん怖がらないですね。すごいですよ。
それともし付け加えるとしたら、歌がめちゃくちゃ上手いってことかな。僕も音楽が好きなんで、一緒にライブも観に行くこともあります。

他の弁護士と比べて、近藤弁護士のお仕事ぶりはどうですか?

断然「スピード感」があります。
依頼によっては、「すぐ動かないとダメ」って時がありますから。そういう時に飛んできて、サッと解決に向けて動いてくれる。
ですから近藤先生は、「芸術品」は作ってないはずですよ。とにかくスピードと実務が優先。だから結果を出すんです。クライアントさんにとってみれば、こんなに頼りになる弁護士はいないと思います。

今後も近藤弁護士とはコンビを組んでいきたいですか?

はい。もし近藤先生がよければ、ずっとお願いしたいですね。

今回は貴重なお話をありがとうございました。

取材日:2010年4月27日
取材者:ライター・吉田 隆

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