今回は湯浅吉博様にお話を伺いました。

「法的なことは近藤先生に一任して、全幅の信頼を置いてます」

湯浅様が携わっているお仕事について教えてください。

まず、メルセデス・ベンツのディーラー業をしております。それから、レンタカー業、ガソリン業など、車に関わる仕事をさせていただいております。

近藤弁護士との出会った、きっかけを教えてください。

近藤先生とお会いしましたのは、もう10年以上も昔です。
当時、社内的にも社外的にも様々な問題が山積しており自分の力に限界を感じておりました。
その相談に乗っていただいたのが最初のきっかけです。それ以来、全幅の信頼を置いています。
法的なことは近藤先生に一任していまして、債権回収に限らず、さまざまな面でお世話になっています。

では今回は、債権回収に絞って、2~3個のエピソードをお願いします。

わかりました。
債権回収と言えば、そうですね、「ガソリン掛け売りの小口債権」と、「2000万円の新車が盗まれた案件」があります。

では、ガソリン業のエピソードから教えてください。

はい。
ガソリン業においては、取引事業者の方々の中には、掛け売りの取引形態をご希望されることが多く、小口債権だけでも、相当数の債権が発生致します。
単にお支払いを忘れていたお客様の場合においては、事は簡単なんですけど、故意に支払いを拒んでいたり、別の事情で支払いが困難になっていると、債権回収が難航してしまいます。

近藤弁護士に会う前は、回収困難な売掛金を、どうやって回収していたのですか?

「お金がない、払えない」とおしゃっている御客様に対しては、時として強い姿勢で債権回収の要請をせざるを得ない場合がありました。実は、会社としても、取引額の中から税金を納めないと、税務署さんから責められるんです。

債権を回収できないと、どうして税務署から責められるのですか?

「本当に取り立て不能になったの? 故意に債権回収しないんじゃないの?」としつこく訊かれるんです。仮に「あの会社は故意に債権回収をしない」と疑われると、会計上「貸倒引当金」に認めてもらえなくなり、経営を圧迫してしまいます。また、時として社会的責任を問われる事もあります。ですから厳格会計に対する責任としても、どうしても必死で債権回収を行ってしまいがちでした。

「近藤先生に教えられたことが、グループ全体で役立っています」

近藤弁護士からは、どんなアドバイスを受けたのでしょうか?

「これ以上の債権回収はやめる」という法的な線引きの仕方を、小口債権の様々な案件で教えていただきました。内容証明郵便を出したり、訪問するパターンや、少額訴訟をかけるパターンとか、連帯保証人に支払ってもらうべきとか、一件一件について丁寧に教えていただきました。

近藤弁護士のアドバイスを受けて、変化はありましたか?

近藤先生に出会うまでは、ほとんどが直球勝負でした。問題のある未収金が発生すると現場へ行き、未収金先に対してしつこく支払いを請求していました。ですから近藤先生に、「やりすぎですよ」と注意されたこともあるんです。
先程も申し上げました通り、企業として厳格会計に基づいた納税義務あるいは社会的責任を重んじれば、それに伴う行動も厳しくなりがちです。逆に、企業内だけの判断でケースバイケースの曖昧過ぎる責任・義務ばかりになると社会的迷惑をかける無責任会社とみなされてしまいます。企業内判断のみに頼る問題(債権回収)に対する解決方法だけでは不十分かつ無責任となる可能性があり、企業外における法的な意見が絶対必要であると感じました。もちろん問題が発生する事が前提ではなく、いかにして問題を発生しない様にするかが重要であり、また問題に対する対処に関してもコンプライアンス作りが大事である事を近藤先生とお会いしてから痛感いたしました。
これは私だけでなく、グループ内の各営業所社員も感じるようになり、近藤先生に教えていただいた事がすごく役だっていると思います。

「年末の事件なのに、すぐ動いてくれて、お正月の1月4日には裁判所の許可を取ってくれました」

では次に、2000万円の新車が盗まれてしまった案件について、教えてください。

はい。これはすごく印象的な事件でした。
ある年末時期に、2000万円相当のメルセデス・ベンツ新車が成約いたしました。納車当日にお客様から連絡が入りまして、「実は今、自宅じゃなくてホテルにいる。ホテルまで納車に来てくれないか」と言われて。

お客様が宿泊しているホテルに、新車を納品に行ったのですね?

そうです。そのとき納車に伺ったのが新人セールスでした。まだ経験不足のところを、見抜かれたのかもしれません。現金ではなく、小切手で支払いを受けました。
しかし、受け取った小切手は、倒産した会社のものだったんです。一銭の価値もないものでした。社員から報告を受けて、そのことに気がついて急いでホテルに駆けつけてみると、すでにお客様も新車も消えてしまった後でした。

2000万円の新車を持ち逃げされたあと、どうしたのですか?

警察に被害届を出しました。
しかし、警察の方は、「単なる不払いなら売掛金が残ってるだけでしょう?」と言われました。当然、本来であれば民事不介入なんでしょうけど、本件に関しては、すでに倒産した会社の小切手を渡したということであり、詐欺の可能性ということで、被害届は受理してくれました。
ただ、警察は、年末だったこともあって、すぐには、動いてくれなかったんですね。

警察が動いてくれなかった事件に、近藤弁護士はどう立ち向かったのですか?

裁判所に仮処分依頼をかけて、車の名義変更の禁止命令を出してもらうことを、提案していただきました。私たちが「そうしてください」と頼むと、先生はすぐに動いてくれました。事件は年末に起きて、禁止命令はお正月の1月4日に出ましたから、近藤先生はかなり無理をして動いてくれたんだと思います。事件番号は、その年の東京地裁の第1号だったそうですよ。

最終的に、どのような解決となったのでしょうか?

結局、盗んだ人物は、他にも似たようなことを、あちこちでやっていて、別件で警察に追われていたようです。
そして、当社とは関係の無い別の車に乗っているときに、交通事故を起こして、警察に身柄をかくほされたようなんです。別の盗んだ車で。
それで、盗んだ人物の兄貴分にあたると名乗る人間が、芋づる式にいろんな事件が発覚するのを恐れたんでしょうね。本人に代わって「車を返す」と連絡を取ってきました。この件に関しては、近藤先生がしつこく追及していたので、私どもの車は、優先的に返してくれることになったんだと思います。
最終的には、盗んだ人間の兄貴分が、店まで車を運転してきました。損害金みたいなものは結局取れなかったんですけど、でも、2000万の車が戻ってきて本当によかったです。

「『あ、この人、本物の弁護士さんだ』と、そのとき腑に落ちたんですね」

近藤弁護士の印象を教えてください。

実は私、学生時代までは弁護士になりたかったんです。
そういう夢があったものですから、自分の中には、自分なりの「弁護士像」というものがありました。スーツをピッと着こなして、黒い革靴をはいて、めがねもピシッとかけて、硬いかばんを持っている。そういうイメージで。
でも、初めて近藤弁護士にお会いした時に、あまりにもそのイメージとは違っていたので、正直なところ「大丈夫かな」と思ったのが第一印象でした。

湯浅様が持っていた弁護士のイメージと、近藤弁護士は違っていた?

はい。まったく(笑)
ところが話してみると、なんでしょう、話のポイントをつかむのが巧い方で。それに自然と私が話したくなる雰囲気をかもし出すんですよ。
車もそうなんですけど、セールスってお客様との対話なんですね。「お客様が何をご希望されて、どのような条件なら折り合ってくれるんだろう?」という情報を、どれだけ対話できるかが、一番大切なんです。近藤先生と初めてお会いしたときから、私はスルスルっとしゃべっていました。話の引き出し方がとても巧い方なんです。

湯浅様のご相談を、ていねいに聞いてくれましたか?

はい。先生と初めてお会いしたとき私は28歳で、よくそんな若造を相手に真剣に話してくれたなぁと思ってます。
それと近藤先生は聞き上手でもあるんです。私が話していると、ちょうど良いタイミングで「こうですね」と。話が脱線しそうになると「なるほど、こうですか」と、また元へ戻してくれる。そうすると自分の中でもつじつま合ってくる。その繰り返しで、相談が終わった時には、情報が巧くまとまっているんです。
それで私は、「あ、この人、本物の弁護士さんだ」と、腑に落ちたんですね。自分が偶像化してた弁護士さんと、本物の弁護士さんって、全然違うんだなって。「いやあ本物の弁護士はすごいな」って。

「近藤先生の前だけでは、弱音も吐かせていただいて…」

債権回収以外でも、印象的なエピソードはありましたか?

妻が、私のところに嫁いできて2年後に、妻の父と祖父が亡くなりました。妻の家では、ガソリン業を営んでおりますので、2人の大黒柱を同じ時期に失った事は尋常でない混乱となりました。家庭も大変でしたけど、会社も大混乱となりました。
その大混乱をおさめるために、近藤弁護士にはものすごく助けていただきました。
といいますのも、私、実は、父が亡くなる直前に、「残された家族と事業のことをよろしく頼む」と言われて、「わかりました」と返事をしていたんです。でも、私は、まだ若かったし、家業もありましたし、とても自分だけの力では解決できそうもなかった。私が親族の問題に介入すると、どうしても利権的になってしまうんですね。相続権がある人間の夫ですから。そこで、近藤先生に助けていただくことにしたんです。

奥様方の家と会社は、当時、どのように混乱していたのですか?

まず、相続の問題で揉めに揉めました。
それから、2人の経営者が亡くなったことで、相続税がダブルでかかってきました。会社のトップと、それを継いだ者が相次いで亡くなったのですから、銀行が会社の経営を心配し、融資も何も返済させようとするんです。監査部の方も来て、「本当に大丈夫なの?」としつこく聞かれて。
取引先の方々も、心配されて、取引条件を厳しくをしたいと言ってくるところもありました。経営者がいなくなれば普通、会社のスタッフたちも不安でいっぱいですし。
そういった事が全部いっぺんに重なってきたので、労力的にも精神的にも、かなり苦しかったんです。

近藤弁護士は、混乱の中で、どのように湯浅様を支えてくれたのですか?

もちろん、相続問題の整理とか会社の法律面で。でも、法的な面だけじゃないですね。
妻の家は北関東にあったので、私が先生と一緒に車で行き来したんですが、その車中では、私の愚痴とか悩みとかを、かなり聞いていただいた記憶があります。
当時の私は、家族や社員の前では絶対に言いませんでしたけど、ずっとこらえてたんです。でも、近藤先生の前だけでは弱音も吐かせていただいて「この局面を乗り越えた10年後の自分が楽しみですね」と、笑って話し合っていました。今ではとてもいい思い出です。
最終的には、相続もいい形でできて、会社も存続させることができました。

ご家族からの、近藤弁護士の評判はいかがですか?

妻の母、妻や妹は、「先生には本当に助けていただいた、助ていただいた」って今でも言うんですよ。
たとえば、法的な解決だけだったら、他の弁護士さんでもできたかもしれません。
でも、家族も会社も人間関係がぐっちゃぐちゃになっている中に飛び込んで、丸く収めるというのは、もうその人の器量ですよね。今でも妻方の家と会社がしっかりしているのは、間違いなく近藤先生のおかげです。

「真実の見えないクレームに対処する姿勢を教えていただきました」

近藤弁護士の指導は、経営にどう活かされていますか?

商売を営んでおりますと、真実の見えないクレームに、けっこう遭遇するんです。もし根拠のないクレームに対して曖昧な対応をすると、悪い評判がすぐに立ってしまします。
悪い評判が立てば、当然、御客様にも迷惑をかけてしまします。
また、悪い評判が立てば、悪質なクレームも増える原因となり、現場が混乱してますます問題が発生しやすくなります。
会社のコンプライアンスとか風土を作る事がいかに大切であり、それに基づいたしっかりとした対応が出来る事がどれほど重要であるかを教えていただきました。

本日は貴重なお話をありがとうございました。

取材日:2010年4月27日
取材者:ライター・吉田 隆

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