マスコミに報道される事件で、弁護士が関わっている案件は、解決までとてつもない時間がかかっていますね。無実の罪をはらすのに何十年もかかったとか、薬害肝炎の解決まで十数年とか、地下鉄サリン事件の裁判が、まだ終わっていないとか。

そんなことから、弁護士に相談しても、とてつもない時間と金がかかって、やっていられないよ、とお考えになる方も多いと思います。

長い期間がかかるのは、ごく一部の案件です

確かに、裁判所には、一般社会とはちがうスローな時間が流れています。
訴訟を起こしても、被告が呼び出されるのは1ヶ月以上先。1ヶ月に1回の書面のやりとりが、ずっと続いて、判決まで早くても1年近くかかるとか。

ただ、マスコミに報道されるような案件は、当然ですが「特殊な事件」です。全体の1%もありません。そうであるからこそ、ニュースになる価値があるのです。一方、その他の事案の場合は、迅速に解決がなされます。

また、裁判になれば、長い時間と労力と費用がかかる、ということは相手方にとっても「嫌なこと」です。とても負担になることです。そのあたりを逆手にとることによって、素早く案件が解決できる可能性が出てきます。

弁護士が電話をかけただけで、支払ってくれる場合も多い

実際、ご相談を受けている際に、その場から相手方に電話をかけただけで、その日のうちに満額支払いがなされた、というケースも少なくありません。

お急ぎの場合にこそ、
弁護士=裁判=長くかかる=費用もかかる=苦労も多い
という、世間のイメージを利用して、交渉によって迅速に解決することを考えてみる価値があると思います。

弁護士が登場すると、相手にとっても、早く解決したい問題となる

依頼された弁護士がまず行うことは、「弁護士から相手方に電話をかける」「弁護士名で、内容証明郵便による催告書を発送する」といった方法です。

弁護士が出てくるということは、相手方にとっては面倒なことなのです。
商売が苦しいときに、後ろ向きのことに時間と労力を割かれることです。
あなた(御社)に対して、適当にごまかしていた言い訳ももはや通じません。
そんな心理から、弁護士が、交渉の矢面に立った途端に、態度が変化して、返済してもらえるということも多いのです。
また、あとで述べるような「保険をかけて分割で返済を受ける」というような解決方法も可能になってきます。

仮差押えは、支払いを拒む相手にも効果大

裁判所を利用した手続としては、仮差押え、という手続が考えられます。
これは、正式な裁判をやっていたのでは、時間がかかり、その間に、相手が財産を処分してしまって、回収ができなくなってしまう可能性がある場合に、財産の処分を禁ずる「仮の手続」です。申立から数日以内に命令を出してもらえるのが通常です。

仮の手続とはいっても、たとえば、仮差押の対象となる財産、たとえば土地・建物・銀行預金などの財産の処分が禁ずる命令が、裁判所から送付されてくるわけですから、時には実際の裁判以上の強烈なインパクトを相手方に与えます。

不動産の場合であれば、登記に「○○地方裁判所 仮差押命令」という記載がされてしまいますし、預金の場合であれば、銀行に「払い戻しをしてはいけない」という通知が行くことになります。

これは、事業をしている者にとっては、外に向かって「信用のない業者ですよ」と発表されるに等しいわけですから、できれば早期に解消したい、と考えることになります。
銀行などから相手方に対して、早期に支払いをするように指導がなされることも多いです。

この仮差押えの手続をとるには裁判所が決めた、一定額の保証金を供託する必要があります。その代わり、極めて効果的です。仮差押をした財産については、直ちに回収できないまでも、誰か他の債権者が、抜け駆けして回収していってしまう、ということを防ぐ効果もあります。
仮差押の手続きについては、弁護士費用も通常訴訟よりも安く、裁判所の命令を得るまでの期間も短いので、ぜひ積極的な活用されることをお勧めします。

急いでいる場合でも「保険」はかけておく

たとえば、相手方の事業が、厳しい状況にあることが判明したとします。
ここであなたが取引を打ち切ると、さらに相手方の業況が悪化する可能性があるでしょう。
こういった場合には、取引を継続して、そこからあがった利益で返済してもらうことも検討します。

そして、ただ取引を継続するのではなく「保険」をかける必要があります。

  • 信用できる資産のある保証人をつけてもらう
  • 保証人以外の担保、たとえば不動産・株式・売掛金などを担保に出してもらう
  • 納品した商品は売りきりではなく、売れた都度、代金を支払ってもらうことにする
  • 納品した商品は、相手方に所有権を移転しないで、万一の時には、直ちに返品を受けられるようにしておく

これらの内容を、公的な書類にしておきます。
そうすれば、万が一、相手方の事業が倒産してしまった場合でも、回収することができます。

このように、たとえ急いでいる場合でも、回収の確率を上げるためには、打てるだけの手は打っておくべきです。

お急ぎだからこそ、回収作業と並行して行っておくべきこと

回収しようとしている金額が用意できないと、月末には御社(あなた)の会社が倒産してしまう、という事情があるならば、債権回収と並行して別の方法を考えておく必要があります。

まっさきに考えるべきは、支払いを待ってもらうことです。
債権者との関係にもよりますが、誠意をもって実情を明かせば、理解が得られることは少なくありません。
また、短期の融資を受ける、ことも考えられます。
これらの方法についても、弁護士が一緒になって知恵をしぼりますので、お気軽にご相談下さい。

戦略無しで働くと、もっと回収が先延ばしになることがあります

「とにかく早く回収を」という姿勢で相手方に詰め寄ると、関係がこじれて裁判まで持ち込まれて、結局、回収は1年後ということも十分ありえます。
お急ぎの事情がある場合こそ、最初に素早く戦略を立てることが大切になります。
そのとき、弁護士のノウハウが役に立ちます。
まずはご相談いただき、一緒に知恵を出し合って、最善の解決策を探していきましょう。