ここでは、債権回収を、司法書士、行政書士に依頼される場合のメリットとデメリットをご説明します。

司法書士に依頼する場合

「認定司法書士」なら140万円までの債権回収は依頼してOKです!

弁護士法の第72条は、弁護士でない者が「法律事務」を取り扱うことを禁止しています。
以下のような条文となります。

弁護士法72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

司法書士は、本来「登記」の専門家で、不動産の権利の移転の場合の登記や、会社を設立したり役員を変更したりするのが仕事です。
ただ、特別な研修を受けて試験に合格した「認定司法書士」は、140万円以下の債権回収の交渉を代理したり、簡易裁判所において、弁護士とおなじように代理人になったりすることが認められています。
「認定司法書士」は、弁護士より着手金や報酬が安い場合が多いので、そのような場合には依頼されることを検討してもいいでしょう。
ただ、司法書士は、「登記」の専門家であって「交渉」「訴訟」の専門家ではありません。案件が複雑な場合、途中で手に負えないから弁護士のところへ行ってくれ、といわれたりすることもあるようです。
そうなると手間も費用も二重になりかねませんので、注意してください。

また、140万円を超える債権については、司法書士が扱うことはできません。
ただし、書類の作成の代行だけなら依頼することができます。
たとえば、内容証明郵便による催告書や、裁判所に出す訴状の作成などを依頼する場合です。

この場合も、あくまで書類をつくってくれるだけ、です。
あなたに代わって、交渉をしたり、裁判所にいってくれるわけではありませんので、ご注意ください。

行政書士に依頼する場合

行政書士は、本来は、行政機関に提出する書類の作成代行をするのが仕事です。
許認可を得るための申請書の作成がその仕事の大半を占めます。
運転免許試験場の近くで「申請書作成します」といっているのは行政書士事務所です。

行政書士でも、「債権回収できます」といっているところがありますが、それも、あなたに代わって書類をつくってくれるだけです。
この点は、司法書士の場合と同じで、あなたの名義で、内容証明郵便による催告書だとか、裁判所に出す訴状の作成などをつくってくれるだけです。

あなたに代わって、交渉をしたり、裁判所にいってくれるわけではありませんので、ご注意ください。
そのようなことをしている行政書士は違法です。
また、行政書士は、認定司法書士などとちがって、まったく裁判手続に関する専門教育を受けていません。
費用が安いからといって、依頼するかどうかは慎重に検討された方がよいと思います。