新聞報道される裁判は、何年もかかっていて、ひどい場合には十数年、数十年なんてこともありますね。
だから、弁護士に依頼して裁判をする気になれない、という方もいらっしゃるでしょう。

ここでは、弁護士の仕事が遅い理由、について述べることにします。

原因は大きく分けて3つあります。

  • 弁護士自身の責任
  • 裁判所などの制度の問題
  • 債権回収特有の問題

それぞれ具体的に解説いたします。

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弁護士自身の責任

効率よく処理することに、ぜんぜん無頓着な弁護士って、実は多いんです。
そのわけは、次のようなものです。

仕事が遅い弁護士の特徴その1:役割分担・権限委譲ができない

仕事が増えているのに、弁護士自身がするべき仕事と、事務員さんがする仕事を、分けていない場合があります。
弁護士自身が、大量のコピー取りをしたり、郵便の封筒の宛名書きして郵便局に行ったり、銀行に行ったり。
「弁護士にしかできない仕事」に、時間を配分できていないのです。

仕事が遅い弁護士の特徴その2:職員を増やすのがきらい

仕事量が増えているのに、人を増やさず、自分と今いる事務員さんだけで、すべてをこなそうとする場合です。
これでは仕事が回るわけがありません。
また、事務員さんにサービス残業させたり、有給休暇を取らせないで対応しようとする人もいますので、効率はさらに悪くなります。

仕事が遅い弁護士の特徴その3:弁護士を増やさない

若い弁護士を採用したがらない人がいます。
そういった事務所では、「方針決定」と「実作業」を、ずっと同じ人がやっているので、時間がいくらあっても足りません。
そのため、疲れがたまって、作業効率が悪くなります。

仕事が遅い弁護士の特徴その4:ITぎらい

メール使えない弁護士って、実は結構たくさんいます。
事務員さん向けの研修会などのアンケートで多いのが、事務所にPCが少ないので1人1台パソコンを買ってほしい、という意見。
PCはあるけど、ネットにつながっていないので、つなげてほしい、とか信じられないような話もあります。
インターネットバンキングができないので、事務員さんが銀行窓口で行列に並んで待っていて、その間はボスが事務所で事務員さんしているとか。
Excel使っているけど、計算式を入れられないとか…。
悲しくなってくるので、このくらいにしておきます

裁判所などの制度の問題

裁判の期日というのは、1ヶ月に1回しか入らないのが全国標準です。
裁判官は、ひとり何百件も事件を担当していて、事件を回せません。だから1ヶ月に1回。それが実情です。
日本の司法予算は、一般会計予算の総額の1%にも満たず、裁判官を大幅に増員することなど、夢のまた夢です。

しかも、日本は世界に冠たる精密司法。
みなさんからすれば「そんなの当たり前じゃないかよ~」ということについても
「主張を書面にして、証拠を出してください」となります。
それを、一度もビジネスの世界に身を投じたことのない裁判官が読むんです。
時間がかかるのもうなずけますよね。
弁護士の仕事には、一般社会と裁判所という異なる世界の橋渡し、通訳、という側面があります。

債権回収特有の問題

あるロシアの作家が、「幸せの形はほぼ似通っているが、不幸の形はその数だけある」という言葉を残しました。
弁護士が扱う案件は、究極的にはトラブル解決です。
そのトラブルの形は、本当に千差万別です。
フォーマットに当てはめて、だれでも扱えるようにする、ということ馴染みにくいものです。
ですから、それぞれのトラブルを丁寧に確実に解決しようとすると、ある程度の時間は、かかってしまうものなのです。