- 依頼者 : 衣料品の輸入販売会社
- 相手方 : 衣料品販売会社
製品を卸した小売店が、不景気のため支払いを遅延
依頼者は、高級衣料品の輸入販売会社をしていました。
長引く景気低迷の中で、卸販売した先の小売店が、代金を支払うことが困難になってきているケースがありました。
いくつかの販売会社では、春夏物の代金の回収が終わっていないのに、秋冬物の受注や納品時期が来てしまうケースまでありました。
契約書の内容を見直し
納品は止めないで、継続的に販売はつづけていく。
しかし、過去の売掛金、今後の売掛金、いずれもきちんと保全できるようにしておきたいとご希望でした。
そのために、契約書の内容を見直し、それを公正証書にしました。
主な改訂のポイントは、
- 過去の債務についての支払方法(分割して今後の売上を原資に払う)を明文で定める
- 連帯保証人を追加してもらう。場合によっては、不動産担保などの差入れなどもお願いする
- 万一、支払停止などの事態に陥った場合には、相手方の有している在庫などの所有権は、すべて依頼者に属するものとして、在庫商品を回収することができる
などの内容でした。
相手との関係を考えて、当事務所は黒子に徹する
相手方との良好な関係を維持するためにも、当事務所は後方の黒子に徹し、相手方と直接接触することは、あえてしませんでした。
依頼者は、私どものアドバイスをもとに、すべての交渉から公証役場の手続きまでを進めました。
現在、こちらのもくろみ通りに、回収は進んでいます。
ひと言コメント
長く友好関係が続いていた相手先とは、一方的に回収をするのではなく、相手方の支援にもなり、こちらの回収も可能になるようなWin=Winアプローチが望ましいといえます。
本件では、取引を打ち切ってしまえば、相手方の商売の主力商品がなくなってしまい、過去の売掛金も回収しにくくなってしまうケースでした。最悪の場合、相手方が倒産してしまいます。
そこで、商品を販売していくことを前提に、過去の売掛金については、今後の支払の中に溶かし込んで回収することを計画した結果、うまくいったケースです。
弁護士が交渉のフロントに立つと、いくら「友好的に」といっても先方も警戒されますので、交渉自体も、会社の方が行いました。
一社に対して、とてもうまくいったので、他のケースでも行われ、この会社の債権保全のスタンダードになりつつあります。