筋の通らない理由で、勝手に敷金の返還額が減額されていた

  • 依頼者 : 某県でスポーツ用品中心の小売チェーンを展開する会社
  • 相手方 : 店舗が入っているビルを賃借していたオーナー

一方的に原状回復工事をして代金を取られた

依頼者は、その店舗は不採算であったため、賃貸借期間の延長をせず、撤退することにしました。
依頼者は、相手方の担当者と一緒に、原状回復工事の必要な箇所をひとつずつ確認し、それらの箇所については、きちんと原状回復工事をしてから明渡をしました。
それにもかかわらず相手方は、それ以外の場所も修復が必要だとして、勝手に工事をして、その代金25万円を差し引いて敷金を返還してきました。
依頼会社の社長は、何の話し合いもなく、一方的に差し引かれることは納得できないとして、当事務所に貸主との交渉を依頼されました。

内容証明郵便を送付すると、すぐに全額返還された

相手方が、勝手に工事をした箇所は、依頼会社の使用方法が悪かったなどの事情はなく、経年劣化した箇所であることが確認できました。また、立ち会い検査の時に、相手方は特に指摘していなかった箇所です。
依頼者の判断どおり、当方で負担すべき箇所とはいえないと判断しました。
単なる「見解の相違」ではなく、私ども専門家が、そのような分析をした結果であることきちんとわかってもらうために、こちらの考えを丁寧に説明し、一方的に控除された金額を返還してくれるように求める「催告書」を内容証明郵便で送付しました。
すると、まったく何の交渉をすることもなく、催告書に記載した内容どおりの金額が返還されました。

ひと言コメント

本件で請求した金額は、25万円です。
依頼会社の年商からすれば、誤差のような金額です。社長、担当者が本件に割く時間や手間を考えれば、弁護士を頼んでまで回収しようとは考えないでしょう。
それでも、依頼者が弁護士を使って相手方と交渉しようと考えたのは、なぜでしょうか。
ひとつには、依頼会社と当事務所が顧問契約を結んでいて、日常的にご相談を受けており、気軽に相談していただけた、ということです。
もう一つは、依頼会社の社長さんの経営哲学です 金額の多い少ないにかかわらず、筋の通らない事態には妥協しない。
そのために、専門家を活用する。
こういう姿勢を貫く会社・経営者は、恐れられつつも尊敬されるものです。
メーカーはいい加減な製品を持ち込むわけにはいきません。
経費削減も、同じようにきっちりと行われていることでしょう。
金融機関も一目置かないわけにはいきません。

依頼会社の社長が、自社を、一代で、県内はおろか隣接県を含んで有数の優良企業に育てられたのは、そんな姿勢があったからだとおもいます。

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