勝訴したのに支払ってくれないので、勤務先の給料から回収したい

  • 依頼者 : 金融機関
  • 相手方 : 会社員

事案の内容

貸金債権請求事件です。
相手方が支払をせず、話し合いにも応じないのでやむなく訴訟を起こしました。
もちろん勝訴しましたが、それでも支払いをしないため、勤務先から支払を受ける給与を差し押さえました。
しかし、勤務する会社は、相手方がすでに破産していて、裁判所から免責決定(破産手手続き開始までに負担した債務の支払をしなくてよい、という決定)を受けているものとして、支払を拒みました。
そこで、勤務先に対して取立訴訟を提起しました。

回収前に立てた作戦

訴訟提起し、勤務先と和解することを目指しました。
決裂すれば、債務名義を得て、給与債権の差押えを申し立てる予定でした。

実際の交渉・回収時のできごと

依頼者は、相手方の破産の事実を全く知らず、訴訟でも、本人は破産については一切触れずに和解の話し合いをしていました。
取立訴訟で、破産法253条1項6号に基づき、相手方が故意又は過失によって依頼者の債権を債権者名簿に記載しなかったことから、当該債権は、免責許可決定によっても免責されないと主張したところ、比較的スムーズに和解が成立し、債権差押命令どおりの回収をすることができました。

ひと言コメント

相手方が破産してしまえば、もはや回収できない、というのが普通です。しかし、以下のような場合には、免責不許可事由に該当して、回収できることもあります。
詳しいことは弁護士に相談されることをお勧めします。

破産法252条(免責不許可事由)
  • 債権者を害する目的で、財産を隠したり、不利益な処分をしたり、財産の価値をさげるような行為をした場合
  • 破産手続きの開始を遅らせることを目的として、著しく不利益な条件で債務を負担したり、信用取引によって商品を購入して、その商品を著しく不利益な条件で処分したような場合
  • 特定の債権者に対してのみ、債務の返済を行った場合
  • 浪費やギャンブルなどで、借金をつくった場合
  • 債権者をだまして、信用取引によって、借り入れをしたような場合
  • 帳簿、書類などを隠したり、偽造したり、変造したような場合
  • 自己破産の申立てに際して、虚偽の債権者名簿(債権者一覧表)を提出した場合
  • 自己破産の手続において、裁判所に説明を求められたにもかかわらず説明をしなかったり、または、虚偽の説明を行った場合
  • 自己破産の申立てをして免責が許可されてから、7年以内に再度自己破産の申立てを行ったような場合
  • 以前、民事再生の申立てをして認可がされてから7年以内に自己破産の申立てを行ったような場合

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