相手の書類に不備があって、請求ができない

  • 依頼者 : 金融機関
  • 相手方 : 別の金融機関

事案の内容

債権者が、ある会社に貸金債権を有しており、それを担保するために債務者の不動産に、根抵当権を有していました。
事情があって、債権の一部を別の金融機関(相手方)に譲渡することになりましたが、その際、根抵当権の当事者変更登記に不備がありました。
後日、この不動産に競売を申し立てることになりましたが、相手方が、まちがった登記に基づいて配当を受けてしまった、という事案です。

回収前に立てた作戦

まずは、できるだけ話し合いによる解決を試みる。しかし決裂した場合は、配当異議の申出をして、配当異議訴訟を提起することとしました。

実際の交渉・回収時のできごと

依頼者と相手方は、事業上の関係もあり、あまり事を荒立てたくないという理由から、弁護士を介さず、担当者同士でしばらく交渉しました。
しかし、最終的に一切譲らないというので、訴訟を提起しました。
「配当実施額の約3分の2を依頼者が取得する」という内容の和解が成立し、回収することができました。

ひと言コメント

登記のミスが原因になって紛争が起きてしまった事案です。
司法書士は、登記申請を代理するのが仕事ですが、基本的に「指示されたとおり」に申請をおこないます。
単純で定型的な登記であれば司法書士に任せておいてよいのです。
しかし、複雑な場合には、登記のまちがいのせいで担保実行できない、ということが起きかねません。
そのようなことがないように、費用等を惜しまず、事前に弁護士に相談して、最終的に、担保実行の際に確実に回収できる内容になっているかどうかを、きちんと確認しておく必要がある、ということを示す事案です。

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