- 依頼者 : 金融機関
- 相手方 : 東京近県の会社と連帯保証人
事案の内容
主債務者に対する債権が時効にかかりそうでした。
そこで、当初は、時効を中断することを主たる目的として主債務者と連帯保証人らに対して訴訟を提起することを依頼されました。
主債務者の代表者が死亡し、代表者がいなかったため、特別代理人の選任を申し立てる必要がありました。この訴訟の係属中、連帯保証人の1名が複数の不動産を有していることが判明したので、その仮差押えをしました。
立てた作戦
主債務者はすでに休眠会社となっており、代表者も死亡していることから、当初は、回収が見込める事案ではないとおもわれた。
ところが、訴訟をしているうちに、連帯保証人が複数の不動産を所有していることが明らかになりました。
これらを調査して、優先する担保権者がいない不動産を仮差押えして、判決を得た後に強制執行することを予定していました。
実際の交渉
主債務者はすでに休眠会社となっており、代表者も死亡していることから、当初は、回収が見込める事案ではないとおもわれた。
ところが、訴訟をしているうちに、連帯保証人が複数の不動産を所有していることが明らかになりました。
これらを調査して、優先する担保権者がいない不動産を仮差押えして、判決を得た後に強制執行することを予定していました。
連帯保証人は、当初は連帯保証などしていない、などと主張していました。
しかし、形勢不利となったため、後には和解を強く希望してきました。
最終的には残元金は全額支払ってもらい、遅延損害金の利率を大幅に減額してさしあげることで和解が成立しました。 相手方は、5か月後に、不動産を売却して、一括で弁済してくれました。
ひと言コメント
本件は、実際の回収を見込んでいた案件ではありませんでした。
しかし、時効中断だけはしておこうと考えて法的手続きを取ったことが、結果的にはさまざまな情報収集につながって、回収することができました。
消滅時効は意外と早く成立してしまいます。
みなさんも、長年、手をつけていない債権がないか、調べてみることをお勧めします。
時効に関しては民法改正がありました。
2020年4月1日以降に発生した債権は、権利行使できると知った時から5年間、権利を行使できる時から10年間のいずれか早い方で時効にかかってしまいます。したがって、基本的には時効は5年間と覚えておくのでよいでしょう。
2020年4月1日より前に発生した債権は、何年で時効にかかるかは、ケースによります。
あなたが友人・知人・親戚に、個人として貸したお金であれば10年で回収できなくなります。
事業者として貸した場合や、仕事上の取引で貸した場合は、5年で時効にかかるのが原則です。
さらに、仕事の内容によっては、もっと早く時効になってしまうものがあります。
3年で時効にかかってしまうもの(民法171条)
① 医師の診療報酬など
② 建築士の工事の設計施工、又は監理を業とする者の工事に関する債権
2年で時効にかかってしまうもの(第173条)
卸売り・小売りの売買代金
自分の技能を用いて物を製作したり他人のために仕事をした場合
人に何か教えてあげた場合のレッスン代など
1年で時効にかかってしまうもの
1ヶ月より短い期間で雇われた場合のアルバイト代・パート代
出演料など
運送代金
飲食代金・宿泊代金
物を貸してあげた場合の使用料